FZX750のエンジンを分解整備してみます。
こんにちは。
今回は1990年式のFZX750のエンジンを分解、部品交換します。
不具合内容は「走行すると冷却水が減っていき、補充してもすぐに減っていく」とのこと。車両をお預かりしてお調べした結果、
- ・冷却系統のホース類から漏れている形跡なし。
- ・エンジンオイル量が異常に増えている。
- ・エンジンオイルの色が白濁色。
- ・点火プラグが濡れている。
この4点からエンジン内に冷却水が漏れている可能性が高いと判断できます。
白濁色のエンジンオイル。
考えられる原因はエンジンのヘッドガスケットとウォーターポンプのオイルシール。この2つの部品はエンジン内部の冷却通路を冷却水が通る際、漏れないようパッキンの役目をしています。オイル漏れ防止の役目もしていますね。仮にウォーターポンプ側が原因だとすると先に外部に漏れるような仕組みになっているので、ヘッドガスケットと判断出来ます。
ということでエンジン分解してヘッドガスケット交換です。画像の中の赤い⭕️の間に薄く挟まっています。
これがヘッドガスケットですね。
まずはエンジンを分解しやすいようにマフラー、ガソリンタンク、キャブレターなどを外していきます。
すっきりしました。
ヘッドカバーを取り外し。
クランクとカムシャフトのタイミングを合わせカムシャフト、カムシャフトカバーを取り外していきます。
FZX750は直列4気筒DOHC5バルブエンジンなので部品点数が多いですね。同じ形の部品がたくさんありますが部品の精度は一つ一つ違うため、どこに付いていたかわかるよう順番に並べています。
シリンダーヘッドを取り外すとシリンダーとピストンが見えてきます。ピストンの周りの溝が冷却水の通路。通常は冷却水の通路からエンジン内部に漏れないようヘッドガスケットで遮ってますが、今回はここからエンジン内に漏れたと思われます。
シリンダー内に冷却水が溜まってしまっています。
原因のヘッドガスケット。かなり劣化しています。
ふやけている所から漏れていました。
新品。
バルブ側。冷却水が漏れていた気筒は濡れています。冷却水でカーボンの汚れも落ちているためか一つだけ綺麗になってますね。
せっかくなんでピストン、ピストンリングも清掃します。ピストンリング、オイルリングにカーボンやスラッジ(エンジン内部の汚れ)が溜まり固着してしまうと、出力低下やオイル上がりなど様々な不具合が出てしまいます。
取り外したピストン。カーボンで真っ黒。
清掃。
あとは分解と逆の手順で組み付けるだけ。パッキン取り付け時も表面を綺麗にしておかないと組み付けた後オイル漏れなどの原因になります。
タンク、キャブレターなどを組み付けて終了。その後症状も治まりました。
今回交換したヘッドガスケットもそうですが、パッキンは経年劣化やエンジンの熱、高い負荷が掛かかるためどうしても劣化してしまいます。日頃のちょっとした点検や洗車はパッキン不良によるオイル漏れも発見出来たりするので大事ですね!